オープンソースFEMソフトウェアの実用:PrePoMax

2024年1月17日

03 解析技術の視点

t f B! P L

 *PrePoMaxはオープンというよりフリーです。



FEM(有限要素法)を使用した構造解析では、高額な商用ソフトウェアの代わりにオープンソースやフリーウェアの利用を検討する企業が増えています。しかし、この移行は一定の条件下でのみ実現可能ではないでしょうか。


私たちの企業では、長年にわたり商用FEMソフトウェアを利用してきましたが、ライセンスの更新が切れたことを契機に、オープンソースソリューションへの移行を検討し始めました。この過程で、SALOMEPrePoMaxなど、さまざまなフリーソフトウェアを試用しました。


特にPrePoMaxは、操作性が優れており、FreeCADと組み合わせて使用することで、モデリングからメッシュ作成、解析までの一連の流れを行うことができました。ただし、オープンソースやフリーソフトウェアの最大の課題は、ファイルの互換性とサポートの不足です。この問題を解決するには、関連するコミュニティへの参加や、同様の経験を持つユーザーからの助言が不可欠です。
*ここでの解析は、金型を用いた接触型の金属加工(圧延など)
*FreeCAD(モデリング)→PrePoMax(メッシュ+解析)の流れ
*PrePoMaxを使用した際、材料の定義や接触に関する設定などはUIではなく、inpファイルを書き換えることで対応。メッシュはPrePoMaxでも可能だが、他のソフト(SALOME)でメッシュしインポート。PrePoMax、FreeCADも解析はCalculiX。

PrePoMaxのホームページ
PrePoMax


従って、以下の条件を満たす企業では、オープンソースやフリーソフトウェアへの移行が有効かと考えます:


  1. CAEの専門性が高いセクションで扱う場合
    →上記のように、オープン、フリー系は流れやファイルのやりとりは複雑、UI以外の操作が必要など、解析担当が常駐するようなセクションが必要。実務家ではしんどいか。。。

  2. 複数の商用ソフトウェアライセンスを保持しているが、経費節減を図りたい場合
    →小規模企業が数ライセンス程度有している場合は代用困難(併用は可能)。大規模数のライセンスを持ち、一部を置き換えていく場合を想定。


私たちの経験は、オープンソースやフリーソフトウェアが商用ソリューションの強力な代替手段になり得ることを示しています。しかし、この移行は慎重に行う必要があり、適切なサポートとコミュニティの支援が成功の鍵です。



・・・結局、私たちの企業では商用ソフトウェアを継続、補完的にオープン、フリー系を使用しています(だからと言って、記事の主旨を否定するものではありません)。



<参考になるサイトなど>



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エンジニアの視点から、品質技法、解析技術、生成AIについて発信しています。 (シックスシグマ・ブラックベルト、MBA)

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