企業が直面する課題は常に新しい。

2010年1月20日

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企業の損益、また、持続的成長の決定的要因は、ハード面のみの変革にはない」という教訓は、ソフト面のアプローチの動機付けとなっている。最近の情勢と考え合わせると、その背景にあるイノベーションの傾向に変化が現れているともいえる。

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そもそも、企業は、顧客へのサービス、製品を何かの価値として提供し、対価を得るものである。サービス、製品に磨きをかけたり、新たなサービス、製品を生み出したり、生き残るためには不断の努力が必要であることは言うまでもない。

新たな富とは、新たな価値を生み出すことであるからである。

“イノベーションの傾向の変化”とは、その陳腐化の速度と便益享受の形態*に変化がでているのであろう。
*便益享受の形態―成し得たイノベーションにより無条件に便益を受けることが出来たことに対し、最近は限定的な一面があること。


さて、近年の米国自動車産業の衰退に関して、野中は「実践知の作法の退化[1]」、また、藤本は「統合型製品開発力不足」を挙げ、奇策のない地道な組織能力の向上を述べている[2]。

この作業は、顧客を含む“ステークホルダー”の四半期ごとの期待にはそう応えられるものではない。

概念上、“顧客”は“企業組織”の上に位置するからといって、(単純に)“偉い”わけではない。

企業と顧客の良好な関係は、顧客が、そのご贔屓の企業が偉くなっていく(=良好なサービス、製品により利益を上げていく)ためにいるとき、それは構築される。

サービスや製品が飽和状態にある現在、当該企業にとって顧客は変遷しやすくなっている。

となれば、ある課題に対して、前の対処では通用しなくなりつつあり、常にあらたな課題や以前の課題が複雑に絡み合った課題がでてきてしまう。

判断を誤れば、イノベーションは迷走する。


こういう事態には、何よりも当該組織の基礎力がものをいう。この獲得には地道に、地道にその努力を続けるしかない。今回の危機は、ある意味、企業の基礎力検定かもしれない。

結局、企業が直面する課題は、いつも新しいのである。


・・・新しい課題には、前例はないのです。それに対処する最も有効な手段は、挑戦し続けることを人材の教育に盛り込むことなのです。


[1] 「米自動車危機教訓と展望(上)一橋大学名誉教授野中郁次郎氏(経済教室)」, 2009/05/20, 日本経済新聞, 朝刊, 23面.
[2] 「米自動車危機教訓と展望(下)東京大学教授藤本隆宏氏(経済教室)」, 2009/05/22, 日本経済新聞, 朝刊, 29面.

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