企業の取り扱う問題のほとんどは、ノーベル賞並みの研究成果やテクノロジーを必要としない。また、制限時間内で超人的な正答率をたたき出す能力が、必ずしも問題解決の源泉になるわけではない。
必要なのは、日本の大学までの教育でのウィークポイントである“論理力”なのである。
これに関して(主にビジネスシーンでの能力を対象に)、種々のカリキュラムを有する大学など、民間も含めた教育機関が出現しているが、要は学生(や社会人学生)が論理的であれば、彼、彼女達は自分が何をすればいいのか、例えば:
→第二外国語としては英語を習得するのか、中国語を習得するのか
→資格を取得するのか、MBAなのか(大学なのか)
→自らの職歴を資格化して名札を作成しなければならないのか・・・
など、自ずから行動が決定されるはずである(彼らなりの判断として)。
さて、直面する問題を解決する、もしくはその方向性にベクトルを向けていく際、リーダーの仕事の第一は“測定系”を定めることである。優秀と言われるリーダーほどこの仕事が得意である。
当たり前のようで、意外かもしれないが、これが案外抜けている場合が多い。
* * * * *
例えば、製造業(主に工場)でのプロジェクトの場合―
○それは、(当該プロジェクトの)問題解決の指標に適切なのか?
―チームの目的を達する為の指標なのか?
○(指標であるなら)誰が測定しても同じ値なのか?
―(部材など)自社と納入業者で異なることは多い。従業員同士でも同じか?
○その指標はどうなればいいのか?
―ある決まった値に成ればいいのか、バラツキが小さければいいのか。また、目的が達せられた時の経済効果は?
などである。
* * * * *
以前に大阪府のことを記事にしたことがあるが(橋下大阪府知事はどうしてここまで、頑張らなくてはならないのか。)、例えば、現知事の焦点は、現在では大阪経済の復興であろう(あるとする)。
では、テーマとして、“大阪経済の復興”とした場合、何を指標にしたらいいのだろうか?
状況によって様々であるので、もちろん、これに正解はないが:
○府民所得の増加
○大阪府GDPの増加
○失業率の低下
○単なる府の黒字化(手段は問わない)
○・・・
など、どれを優先的な指標にするかは、その状況次第であるが、いずれにせよ、測定系が決まらないことには、次のステップは決まらない。
企業に目を向けてみると、例えば、研究開発を盛んに行なっていく方針が経営陣から打ち出されれば、数年にわたり、その効果*を検証してみなければ、単なる利益、売上高では、状態がよくなっているのかどうかが把握できない。
*例えば、その効率として、研究開発費/設備投資額、営業利益/研究開発費など(以下の資料を参考)。
->知的財産情報開示と知的財産価値評価(経済産業省資料より)
->榊原清則,「展望論文:日本の技術経営 -研究開発は経営成果と結びついているか-」
そうやって、論理的な問題解決ゲームを展開していくのである。
・・・測定系が定まらなければ、カイゼンのしようがないのである。
*記事に関して、典型的製造業の問題解決に類似した、また起因した内容である場合がありますが、記事執筆者の経験によるものですのでご了承ください。
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~論理力向上のための参考に~
<参考書籍>
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