(つづき)
前記事では、測定に関する<方法と精度>の“方法”について述べた。
今回は、“精度”についてである。これは、例えが分かりやすい。
* * * *
ある製品の工程では、最終工程の検査で、製品の強度テストが行なわれていた。大抵、20単位程度の製品を試験に用いていた。
「試験に用いていた」―いい表現であるが、要は、破壊試験なので、製品を壊すだけのことである。良品の廃棄に等しい。なので、単価が高い製品であればあるほど、この検査の個数は少ないほうがいい。
その強度はN(ニュートン)で示され、250N以上であればいいらしいが、データを見ると・・・
600N
500N
700N
700N
500N
800N
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.
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「待て待て、それ有効数字(Wikipedia)が1桁じゃないか」
いくら、何百Nといっても、所詮は、○×10^2(便宜上“^”で表現)である。上の例では、実質、5,6,7及び8しかデータがないに等しい。
だから、250N以上であればいいことを確認するのに、破壊する個数が増加するのである。有効数字が大きくなることは、同じデータ範囲であっても、細かくデータを測定することができる。
これは(=有効数字が大きくなることは)、経験的に、正規分布へ近づくことを意味している。
正規分布に従わない場合においても、工程能力分析は実施可能で、データを変換し、工程能力を算出する、という手順で行なうことができる。
だが・・・そら、正規分布のほうが、後々(種々の検定など)のことを考えると、楽なことはいうまでもありません(問題のある工程のデータが正規分布でない場合はこの限りではありません)。
ということで、先ほどの測定システムは、あまりに大雑把だったので、少し、精密に計測できる測定器を用いた結果、データは・・・
607
526
727
684
478
849
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となり、多くの個数を破壊試験に用いなくても、工程能力を計算できるようになり、破壊試験個数を半減できました(チャンチャン)。
* * * *
まさかとは思われるかもしれないが、このような話に類似するプロジェクトは本当に多い。何かしら、測定に関する事柄がネックになっている。
あくまで、注意すべきは、“方法”と“精度”なのです。
ちなみに・・・
このような類のプロジェクトは、当たり前の話、すぐに、大きな効果金額が計上できる。
しかしながら・・・
・・・小集団やシックスシグマプロジェクトの効果金額は、売上や利益に関するものでない限り、大きければいいというものではありません。この記事の例では、効果金額が大きいほど、その工程管理のレベルの低さを表明しているようなものと言えます。
photo by Maco
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