企業にとって「作業の標準化」は非常に重要な課題である。官製不況(『ウィキペディア(Wikipedia)』より)と言われる言葉もあるが、例えば、派遣労働規制により、企業は労働の柔軟性を失い、人件費の負担を強いられる。
そうすると、特に製造業は、人件費の安い海外へその生産工場を移設するが、そこで、作業の標準化が進んでいないと、狙う品質は確保できず、かえって、その対応コストがかさんでしまうこともある。
おそらく、そのようなことが進められる企業は、成長する市場に参入する経営姿勢であり、それは海外比率が高い企業である。国内を相手にしている企業では、成長率が低いため、固定費用が高くなるだけである。
このような中でも、企業は、新たな製品・サービスを生み出し、効率良く事業化していくことが求められている。作業の標準化により、「誰でも出来る作業」を派遣やアルバイトに頼ってきた製造業では、上記の法規制の中では、作業を効率化することより、新たな製品・サービスを市場に供給することに資源を集中した方が、市場が求める成長性を達成できる可能性が高くなることは容易に想像がつく。
そのような製品・サービスの研究・開発作業をより定量化するために、リアル・オプションが用いられるが、この定量化の帰結は、「オプションは多い方がいい」ということであり、詰まるところ、研究・開発者の取り組むネタが豊富なほうがそのチームのオプション価値は高いということである。
この価値を台無しにする行為が、研究・開発行為に標準化を求めることである。トヨタが競争相手に対しコスト競争力を維持できているのは、「標準化された作業」に創造性を取り入れたことにある。作業を単に標準化したことでも、ましてや、創造性を求められる現場に標準化を導入したことではない。
具体的には、「組立要員は車を組み立てるだけでは、機械が故障したときに、修理の専門家が現われるまでぶらぶらしていなければならないが、彼らはその整備と修理の訓練を受けており、すばやく修理、作業の復旧を可能にしたのである」(『組織の経済学』第1章より趣意)
創造性を求められる現場に標準化を導入する極限値は、ジェネリック医薬品である。研究・開発人員はほとんどいらない(例えばの話です。後発医薬品も幾つかの試験をクリアしなければなりません。詳しくは後発医薬品(『ウィキペディア(Wikipedia)』)をご覧ください。)。
残念ながら、標準化の欠点は、創造性を発揮できないことにある。決められた行為以外は労働と認められないからである。そのような労働環境の上級管理者は、いや、他部門の従業員でさえ、おそらくは、学究的なディスカッション、説明できない現象の実験や文献調査、専門機関への訪問などは、単なる「遊び」と見なすであろう。
しかしながら、標準化の利点は、誰でも行える作業に落とし込んでいるため、高い賃金を必要とする従業員でなくとも、当該企業が考える最適地での生産が行える点にある。
・・・事業展開は投資行為と概念が合致している。絶対に儲かる方法が存在しないように、これを導入すればバラ色の方法も・・・ありまへんでぇ。
photo © Maco
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