企業の品質改良に関して、「顧客の選好に応え、それを強めるグループ」と「コスト削減を強めるグループ」「これらの二つの路線を両立させる」グループを比較したところ、顧客の選好に応え、それを強めるグループの業績が好調であった[1]。
顧客が満たされていない状態を解決する(ニーズを満たす)ことに対して、顧客が知覚し、その水準が高ければ、そのプレミアムを顧客は支払う。
顧客満足は主に、製品・サービスの価格、品質、購入しやすさで満たされ、そこから、顧客とコミュニケーションを図り、顧客の信頼するブランドを構築してしくことで顧客の忠誠度を高めることができる。従って、顧客満足だけではなかなか利益を創出しにくくなっている。
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1)ドリル-顧客がドリルを望むのは、ドリルが欲しいのではなく、穴を開ける器具が欲しいのである。ドリルを多く売りたいのであれば、他社との差別化を声高に打ち出すより、同様の機能をもつのはドリルしかない、顧客を代替品へ向かわせないことも重要である。
2)-1 あるスーパーマーケットでは、店の入り口に顧客を出迎えるスタッフを配置している。コーヒーのサービス、雨が降れば傘を、荷物は顧客の車まで運ぶという。顧客のクレームまでその報告にいわゆるポイントを付加するほどである[2]。
2)-2 これらのコストを合理的に削減することで得られるのは、激安スーパーマーケットである。ただし、模倣が簡単なため、競争は激化し、再び、価格を高くすることはできない。価格競争は最後の競争だからである。
3)IKEAでは、その合理的コストを削減しているが、購入する動機はそれ(価格)だけではない。
4)対象者を高齢者に絞った旅行代理店は、高齢者の最大の不安-もし何か起きたとき-に応えるため、医師を同行させるサービスを提供している。これは、その他の代理店に模倣されにくいサービスである[3]。
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・・・あなたの企業の上級管理者がどのような意識なのか確かめることは簡単である。「組織図のヒエラルキー」を描いてもらえば、それはわかる。一番上の階層に、「顧客」と描くでしょうか、それとも「経営者」と描くでしょうか。。。
[1] Roland T.Rust, Christine Moorman, and Peter R. Dickson, "Getting Return on Quality: Revenue Expansion, Cost Reduction, or Both", Journal of Marketing 65 (October 2002), pp7-24.
[2] フィリップ・コトラー,ケビン・レーン・ケラー,恩藏直人監修,月谷真紀翻訳『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版』ピアソン・エデュケーション,2008.p177 スーパークインの例より。
[3] ニッコウトラベルの例(当初はホワイトエリアであったが、模倣やカリスマ添乗員の退職など、課題もある。)。
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