株式投資をギャンブルだとすれば、このギャンブルは他のギャンブルに加え、参加プレーヤーが最も有利だといわれる。それは、プレーヤーのが持つ情報(企業が公開しばければならない情報)による。少なくとも株主であれば、企業への問いかけには、企業も応対する体制が整っている。まさか、騎手にインタビューできるプレーヤーは少数であろう。
「それは、投資家に敵わないだろう」と考えても、腕のいい投資家を見つければ、彼らの公開する”ファンド”や”投資信託”に賭ければ(手数料次第ですが…)、彼らほどではないが、トレンドには乗ることができる。
この賭場で、人気が高いのは成長を続けている企業である。成長とは?-利益が伸びている企業、利益とは?-本業の営業利益、それはどのように計算されるのか?
多くの企業がホームページ上でアニュアルレポートを公開しており、企業の会計、方針を確認できる。が、それを見るのは最後にしたほうがいい。
まず、有価証券報告書や決算短信で確認せよ!
本書の主題である。アニュアルレポートでの企業の言い訳は頭に入れず、報告義務のある損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、で確認することが大切、というものである。本書では、その見方、それぞれの関係が書かれている。会計には独特の感覚があるので、その感覚をつかんだり、入門的に読むには最適な書籍であると思う。
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○営業利益はでているが…売掛金が多くないか?
○キャッシュフローをみると…本業では全くふるってない!
○売上高は変わっていない、ROAが低下…もしや、M&Aで間に合わせたのか…?
○投資に力を入れていると聞いているが、投資キャッシュフローがマイナスではない(通常マイナスです)or 特別利益がやけに多い。内訳をみると、トレーディング目的でもない有価証券を売却してしまっていた。
○(決算短針で)来期、売上が5%上昇の予想なのに、この営業利益率の悪い予想はなんなんだ?
*通常は、売上高の伸びよりも経常(営業)利益の伸びのほうが大きい。これは、各業種の限界利益率から考えることができる-例)限界利益率が20%:売上が10億円増加すれば、利益は2億円増加;ここ数年での業種別では、精密機器(14%)、輸送機器(7%)、電気機器(21%)、機械(23%)など。
○あまり見たことのない費目が登場し、特別損失費に計上されている。
○財務キャッシュフロー(通常マイナス)を見ると、借入金の返済以外に、比率が大きな費目があがってないか?
○業績が低下しているのに(利益の伸びとは関係なく)、配当金が増加傾向…。
○内部で「人件費が!!!」と叫んでいるわりには、役員数人が退職すればいいほどしか、販売費及び一般管理費が上昇していない(売上高に対して0.数%程度)。
などなど…
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この賭場では、過去から積み上げた利益(利益剰余金など)は単なる戦績である。今後、勝てない(成長しない)とわかれば、BET(=投資)してもらえない。それどころか、その利益を奪いにかかってくる。さらに、この賭場では、投資してもらえないことは、時価総額が減じることを意味している。だから、ミエミエであっても成長路線を演じなければならない。
「どれほど巧みにとりつくろった会計でも財務諸表の数字に仕掛けられたトリックを暴いてしまえば、等身大の会社の姿が見えてきます。」(本書p219)
・・・数字は残酷ですねぇ。。。
<参考書籍>
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