ギャンブルは参加しなければ、損はしないが、参加することで、リターンを得られる。株式投資においても明日の株価が上昇するか、下落するかはわからない。しかしながら、資産を形成していく上で、参加しないことが損になることもある。日本の資産の多くは、銀行への預金である。インフレ率が銀行の提示する金利より高ければ、その価値が目減りするからである。
インフレ率と株価指数の研究は盛んに行なわれていて、インフレ率の低下期には株価(PERなど)は上昇し、上昇期には実質株価が低下することが知られている。下の図を見ると、日米の株価でもそのような時期があるようである(研究では図よりさらに前の年代から調査されています)。
○日米CPI(消費者物価指数)と株価推移(年毎 1982~2008)
行動ファイナンスの観点からは、インフレーションは株価のバリュエーションに重要な影響を及ぼす理由に、①貨幣錯覚(常に物価は上がり続けているということを無視して、所得などの名目価値の上昇だけに注目した考え:金融用語Web辞典より)、②アンカリング(初めに提示された情報によって、その後の判断に偏りが生じること:Wikipedia『アナロジカル・シンキングの罠』より)と調整により、人々がインフレーションの変化に過小反応する理由を挙げている。(ハーシュ・シェフリン、鈴木一功訳『行動ファイナンスと投資の心理学―ケースで考える欲望と恐怖の市場行動への影響』東洋経済新報社、2005、第五章市場を予測するp78)。
現在の論点は、米国の経済に連動するかどうかである。米AIGの8,100億円の赤字(日本経済新聞夕刊一面2008/5/9)、米シティの健全性維持(資産売却41兆円)(日本経済新聞三面2008/5/10)、日本へのサブプライムの影響は1.5兆円(日本経済新聞一面2008/5/2)など、非常事態であることはいうまでもない。
運用しなければ利益が上がらない企業の大きな損失、「売る」と宣言すれば、叩き売られることを承知での発表、事態は深刻である。
かつての日本もバブル崩壊後は、潰れないと神聖化された銀行が倒産、合併され、合わせて向かえたデフレの真っ只中で株価最安値を経験した。
今回の波及も、中国、日本とじわじわ訪れる局面もあろう。しかしながら、日本の経営者も対米一辺倒では成り立たないことをすでに熟知している。
・・・ファンドや銀行の崩壊、原油の暴落など、もうすでにキッカケ待ちなのかもしれない。
*この記事は投資や投資に関する勧誘を意図するものではありません。
*投資の決定はご自身の判断と責任でなされますようお願いいたします。
*末筆ではありますが、中国での大地震による被災者のご冥福と、地域の復興を心よりお祈り申し上げます。
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