イノベーティブな組織とは?

2008年3月16日

MBA

t f B! P L
Wekaに関する記事はweka データマイニング記事よりご覧ください。

結論的には、イノベーティブな組織とは、従業員がイノベーティブである組織である。その結果、組織として公平感、達成感、連帯感が測定でき[1]、グーグル、ホールフーズ・マーケット、W・L・ゴア社の管理システムとして発現されるであろう[2]。

*  *  *  *

ある企業の研究開発者は製品に関する「おもしろい」アイデアを思いついた。その研究を深めるためには以下の協力者が必要であった。
①研究所内の従業員(分析に関する知識が深い)
②事業所の従業員(関連する製品の設計者)
③サプライヤー
さて、彼(彼女)はどうするであろうか?

*  *  *  *

大抵の経営者は「自由にやればいい」と寛容的である。慢性的な低収益の病にかかっている大企業の経営者であれ、そういうであろう。

だが、現在の経営管理システムがそうはさしてはくれない。

プロジェクト形式に対応できる企業もあろうが、決裁権までは与えていない。そのプロジェクトチームは予算を与えられず、サプライヤーを選定できず、人事権もない。思いついた人を中心とした単なる「善意の研究集団」でしかない。さらに、上司からは「業務に支障のないように」と釘を刺されるのである。

労務管理の厳しい現在では、善意の残業でさえ、認められないだろう。ボラティリティは高いとは言え、通常の業務と比べて、オプション価値が高いことは言うまでもない。

ただ、そのアイデアに関して従業員が集まるということは、そのアイデアが本当におもしろいのであり、または、あの人が言うのであれば・・・という理由で集まっているのかもしれない。

いずれにせよ、この形態はリーダーが自主的に選出されている。ある日突然、やりたくもないのに上司に任命されたリーダーよりはマシかもしれない。

グーグル、ホールフーズ・マーケット、W・L・ゴア社の管理システムが次なるシステムで模倣すべきであるとは思わない。欧米の成功体験が、極東地域で静かに文化を育んできた国で適用できることはない。それは、現代までに多くのことを模倣し、多くの歪を抱えてきたことを考えれば自明である。

では、現在の日本的企業での次なるステップは何か?
それは、経営者のイノベーションである。従業員に高い専門性とパフォーマンスを求めるのであれば、経営者もそうでなければならない。創業者でなく、雇われ経営者であればなおさらである。

「円高により業績が好ましくない」は「外部環境を考えていませんでした」と同義であり、「大胆な技術と大幅な原価低減を求める」のは「利益創出に関しての考えがありません」と宣言しているのと同じである。

私はMBAは経営の必須だとは当然考えていない。研究者、技術者が工学修士、理学修士であることに必然性がないのと同様である。

工学、理学修士は研究テーマに関し、修士課程の年限にあわせた研究納期、それに対するアプローチ、論理、学会発表、論文作成と自らが立案できるスキルを身につける。よほどの研究内容でない限り、企業に就職する際、自身の研究テーマで給料がいただけるとは考えていない。MBAも同様、単なる学位でしかない。

が、しかし!MBAの輩出は、欧米流の経営管理を模倣してきた割には、米国に比べて年間約1/20程度である。

「経営への関心」を測定系にするとそのような数値が代表されてしまうが、少なくとも部下に一定のスキルを要求するのであれば・・・である。

また、この問題は経営者にばかり責任を負わすこともできない。グーグル、ホールフーズ・マーケット、W・L・ゴア社での例では、ボトムが中心である。それは、ボトムの従業員にマネージメント能力が要求される。MBAに限らず、社会人は「出来たもの勝ち」なのでスキルは身につけておいて損はない。

日本的企業の変革は、まず、官僚主義から学習する組織へ舵をきることから始まる。

・・・全く性質の異なる製品・サービスを提供し、顧客も異なる企業群の経営管理システムが類似していること自体が、ブレイクスルーの時期が近づいていることのシグナルなのである。

記事中の参考書籍
[1]熱狂する社員 企業競争力を決定するモチベーションの3要素 (ウォートン経営戦略シリーズ)
[2]経営の未来

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