企業においても、安かろう、悪かろうの製造を払拭する“カイゼン”へ発展し、また、そのハード面でも西欧を模倣してきた。
そういった“お手本”とも言うべき先進諸国は、すでに経済成長率において、優等生ではなくなってきた。本書は、「脱経済成長」に関する書籍である。
1部では「ポスト開発」を認識することから脱経済成長を見据え、2部では「脱成長」を進める、また社会の発展する方向を吟味している。
↑↑↑↑↑ 書籍紹介はこれまで。 ↑↑↑↑↑
こういった最近の書籍で、思い出されるのは、企業で言えば、戦略、組織などのハード面に対したソフトな面である*。
*以前の“ソフト面”についての記事
○ビジネスは結果か?①
○ビジネスは結果か?②
○ビジネスは結果か?③-了-
少し遡ると、ソフト・パワーについて、ハーバード大のナイ教授(当時)は以下のように著した。
「ソフト・パワーとは強制や報酬ではなく、魅力によって望む結果を得る能力である。ソフト・パワーは国の文化、政治的な理想、政策の魅力によって生まれる。」(p10)
企業において考えると、グローバル化が進み、国家の枠組みなどが、その発展において重要な意味をなす場面は減少しつつある。
企業組織の戦略、組織などのハードなパワーからソフトなパワーが利益を創出する源泉となりつつあることは否めないことである。
さて-
シュムペーターは、経済の発展について-
「経済発展の本質は、以前には定められた静態的用途に充てられていた生産手段が、この経路から引き抜かれ、新しい目的に役立つように転用されることにある。この過程を、われわれは、新結合の遂行と呼ぶ。」と、経済発展の本質として、新結合(イノベーション)を述べている。(注1)
(注1)根井雅弘,『シュンペーター―企業者精神・新結合・創造的破壊とは何か』, 講談社, 2001.
詳細は、J.A. シュムペーター, 塩野谷祐一, 東畑精一, 中山伊知郎訳, 『経済発展の理論―企業者利潤・資本・信用・利子および景気の回転に関する一研究〈上〉 (岩波文庫)』, 岩波文庫, 1977, pp182-183.
*こちらのサイトでイノベーションに関する簡単な説明を掲載しています。
ドラッカーの言葉を借りれば、「意識的かつ組織的に変化を探すこと」(注2)である。
(注2)P・F・ドラッカー,上田惇生訳, 『新訳 イノベーションと起業家精神〈上〉その原理と方法 (ドラッカー選書)』, ダイヤモンド社, 1997, p51.
多くの企業は、これらの結合を成し遂げ、変化してきたのであるが、近年の経済危機の反省からは、「虚偽の非有機的な結合を、殊に金銭と相つらなる結合を打毀(うちこわ)す」(注3)ことも、その“変化”の考慮に入れなければならなくなってきている。
(注3)D・H・ロレンス, 福田恒存 訳 『現代人は愛しうるか [筑摩叢書 47]』, 筑摩書房 , 1965, p188, 文中のかなは、ブログ運営者による。
政府、政策の単位は主に国家である。
英キャメロン首相の“大きな社会(ビッグソサエティー)”-
これは、「大きな政府(ビッグガバメント)」ではなく社会政策の多くを、慈善団体や社会的起業家などにゆだねる構想である。(注4)
この構想もひとつの示唆であろう。
(注4)(日経BPネットコラム,「英キャメロン首相の「大きな社会」構想に注目」,大前研一, 2010年08月04日より趣意。)
だが、企業の単位は、国家を超えている。そのような社会傾向であったとしても成長しなければならないし、変化し続けなくてはならない。
消費者は、最も価値ある(と思われる)製品・サービスを望み、それ以外は最安値の対価しか払わない。
企業の内側から発せられる製品・サービスの価値は、その組織の構成員によるものである。
その創造性を育み、モノにしていくことは、少々せっかちなハード面からは嫌われるであろうが、新たな結合、変化の方向性を模索する試行錯誤も成功への大切な儀式である。
おそらく、企業の論理も変化していくであろうが・・・
・・・(一般論として)企業が儲けなければならないことに変わりはありません。
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