企業の平均寿命・・・日本は電機大手も含め老舗が多いが、最近は経済大国での短命化が進み、日本、欧米の平均寿命は12年半だという(p24)。そう、自滅していくのである。そこに焦点を当てたのが本書である。
優良企業が転落する理由は、外部環境が大きく変わっているのに、変化を起すことが出来ない、あるいはもっと不思議なことに、変化を起したがらない場合である(p20)。
DEC(デジタル・イクイップメント・エレクトリック)は「ミニコンピュータ」の導入で一時代を築いたが、パソコンを軽視し、低迷が続いていた。その頃、インテルの最上級チップの四倍の速さの「アルファ」を紹介したが、もう株主も市場も元気はなかった。
「技術、人材、製品、すべてはそろっているがオルセン(当時のトップ)がトップいる限り立ち直れないだろう」とも揶揄された。つまるところ、市場が納得いく戦略、企業の方針を提示しなければ、優秀な技術、また広告なども台無しなのである(第一章 なぜ優良企業が自滅するのか(趣意)))。
ある競争軸に執着し、○倍の性能、○倍の安全性、○倍の生産性、などが企業内で聞こえたら、自滅するシグナルなのである。
オルセン後の経営陣はしっかりとした経営で再建を進めていたが、「Point of No Return」である。日本で言えば、松下幸之助、本田宗一郎、井深大がトリオになってその企業に現われても、再建出来ないことと同じである。
従って、外部環境への対応の仕方は非常に神経質にならなければならないのである。
なぜなら、本書のテーゼの通り、企業は競合企業に競争で負けるのではなく、「自滅」するからである。
・・・結局、企業は市場の先頭に立つことで、決して市場を追いかけることではない。当然、そこにはリスクが存在する。しかしながら、今後の企業はいわゆる「ビジョナリー」な企業しか生き残れないのであれば、その行為は賞賛されるだろう。企業には、そういう行為も必要なのである。例えば、「ソニーは顧客に対する情熱を持っていないと言われるが」(p308)*、それは当然で、顧客のいない領域の製品を開発するのだから・・・。
エクセレント・カンパニーを蝕む7つの習慣病、興味のある方は、GW、読書の一冊にいかがでしょうか。
<参考書籍>注)*ソニーの部分は『ビジョナリーカンパニー②』を参照
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