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シックスシグマのフェーズ(D:問題定義、M:測定、A:分析、I:改善、及びC:管理)の中で、「分析」や「改善」が外科的療法であれば、「管理」は内科的療法である。実施された改善効果を維持管理する行為は、目立ちはしないが、確実に、そして継続的に実施しなければならない地道な作業である。
改善策に対し、管理項目を定め、改善効果を維持管理するには、そのプロジェクトが生産工程を対象としたものであれば、やはり、”ベテラン”や”職人”の力は必要不可欠となる。
得てして、若手のリーダーや盲目の上級管理者はここを見逃し、彼らの力を侮っている嫌いがある。データを分析し、統計的な有意性を発見したり、実験などで改善策を導き出したりすることは、一見、華やかなようではあるが、管理フェーズに求められる、「常に同じモノを後工程に提供する」行為に比べると、やはり、見劣りする。
過去に以下のようなプロジェクトがあった。
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その製品の製造工程では、顧客要求品質が非常に厳しいため、ロットアウトになる製品が生産されることも少なくなかった、いや、許容範囲は存在していた。が、ロットアウトの発生するバラツキが大きく、その安定と廃棄費用の削減を目的に、そのプロジェクトは開始された。
データを分析すると、どうも、作業者に偏りがある。ロットアウトが多い作業者を調べても、作業標準を守り、仕様書の通りに生産しており、全く問題がない。
そうである。ベテランの作業者が”出来すぎている(ロットアウトをほとんど出さない)”ので通常の作業者の場合にロットアウトが多く見えるのである。このベテランの作業者がいなければ、”バラツキ”が少なく見積もられ、問題にならなかったのかもしれない。
プロジェクトは、前工程から供給される材料の物性、その作業者が設定する量産設備の設定、気温、湿度などあらゆるデータを取得した。そして、量産設備にて効果の高い因子を実験計画法により詳細に分析した。
結果・・・3因子間の交互作用が有意であった・・・。
ご存知の方もいるかもしれないが、3因子間の交互作用は「神のみぞ知る領域」であり、さすがに、ベテランの作業者も他の作業者に教えられないはずである。
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何もベテランや生産現場の作業者を擁護しているわけではない。資本の効率化を進めるうえで、作業を徹底的に標準化し、非正社員化していくのも経営である。が、そのシステム下では、日本では”60点”の製品しか生まれない。結局、廃棄費用やクレーム対応、新製品の納期遅れなど、余分なコストが発生してしまい、一時的には固定費用は削減されるかもしれないが、失った技術、ノウハウは二度と手に入れることは出来ない。
このことは、多くの製造業が中国での生産で経験したことではあるが(*中国での生産が悪いといっているのではなく、単純に生産コストのみに着目し、品質が維持できると算段した経営の問題を言っています)、未だに、テイラー方式という百年前の亡霊に取り付かれている。
結局、彼らのように、当たり前のことを当たり前にやる、ことがなければ、シックスシグマも完結しない。
・・・空気はなくならないと、その有難さを認識できない。
(「シックスシグマ⑳(改善策は管理されるか?)」了)
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