これらは、社会人経験を伴うことを前提としているためか、リポートや論文が当初、どうしてもビジネスリポートっぽくなってしまう嫌いがある。
とはいえ、MBAとは単なる学位であり、それが、専門職であれ学術であるゆえ、やはり、書式のルールはある。それに則らなければ折角の鋭い視点も駄文となってしまう。また、折角の研究論文も学術のスタイルを外れれば、単なるリポートに終わってしまう。
研究のスタイルは理系も文系も関係はなく、自らの主張を、過去を精査し、新規性がある知見であるか、また、その仮説はどのように検証されるのか、を追及するものである。
従って、理系の実験と同様に、スンナリ論文が書けたり、研究が進むものではない。
社会人向けコースではあったが、私もひとつ論文をつぶしている。決められた年限で、新たな知見を披露すること、及びそのスタイルを身につけることが修士の責務である。私のテーマはやや大きな分野を扱いすぎていたわけである。
話はそれるが、それが修士の責務であるゆえ、理学、工学系の修士がある企業の研究職、開発職のマネージャーに採用されることはないのと同様、MBAの盲目的(その企業の顧客、製品、生産現場が分らない状態)なマネージャーとしての採用も私には疑問である。
さて、リポートや論文を執筆する上で、私は以下を参考にしました。
ご参考になれば幸いです。
* * * *
理系の論文は、Introduction->Experiment->Result and discussion->Summaryなどが代表的な骨格で、それに慣れている方でもMBAは社会科学の分野なので、その分野の仕来りはある。
入学当初、ある講義で先生に勧められ読んだ書籍が、澤田先生の『論文の書き方 (講談社学術文庫 (153))』である。これは、77年に発行された書籍であり、文献検索などは現代にそぐわないが(これは当たり前であり書籍の論旨を傷つけるものではない)、論文へのアプローチ(=論理的な物の考え方など)を学ぶ上では、名著である。
つづいて、1年ぐらいが経過したところで、研究内容のテーマ、論旨の概略を詰めていく講義があり(論文に耐えうる内容なのかどうかの吟味)、その中で伊丹先生の『創造的論文の書き方』が題材になり、テーマの選択、理系の時とは異なる仮説検証(理系は実験が主)、リポートと論文の違いなど、いわゆる研究行為とその帰結の所作を学ぶことができる。
私はMOTに関するゼミだったのだが、担当の先生は『リサーチ・マインド 経営学研究法 (有斐閣アルマ)』を主に、『社会科学系大学院生のための研究の進め方―修士・博士論文を書くまえに』を副として、研究や論文に対することの参考書籍としてこれらを推奨していた。
社会人向け機関での学習の場合(フルタイムでない場合)、最も注意すべき点は、フルタイムとは異なり、研究活動が入学当初から出来ないことである。通常は、研究成果を幾度か学会で発表するし、論文も執筆する。そして、それらの業績も含めて修士論文を執筆する。
ところが、社会人向け機関では、そのようなことは稀である。結論的には、時間的制約が大きいため、研究行為(=試行錯誤)の積み重ねが少ない。
研究行為は意識して入学して半年ぐらいから進めていくと何度かテーマが腰折れになっても大丈夫で、最終的には、いい論文になると思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿