渋沢栄一(1840-1931)

2006年12月2日

書籍

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技術経営を学んでいると、どうしてもそのルーツを学習する。古くはシュンペーターにはじまる・・・。しかしながら、日本において最も興味を惹かれるのは、幕末から明治にかけ多くの企業家である。

「明治日本におけるビジネス啓蒙の企業家活動を通じて有為な実業家育成に多大なる貢献をした企業の先駆け」といえば、渋沢、福沢である。 

時は幕末、渋沢は一橋家に仕官している。武士でない彼を重用した慶喜に対しては終生その恩顧を忘れなかった。明治維新により徳川宗家の没落を目にした彼は、徳川慶喜に拝謁し涙したという。 

彼の功績は、第一国立銀行の創設など、種々の資料により詳しいが、合本主義に集約される。商売に関して、家族、親族しか信用できなかった時代背景の中では、画期的なことである。現在では、株式会社制度ともいえる。  

マージナルとは、諸階層が重なり合う境界的な意味であり、当時としては、士農工商の秩序にはおさまらない存在である。それは、彼らの価値体系が自由であり、得てして変革期のイノベーションの源泉は、マージナル・マンであることが多い。  

彼もまたそうであった。 彼の経営思想は儒教倫理を基にした「道徳経済一致説」である。すなわち、私的営利行為と公的行為を結び付けなければならないもので、私的営利行為の社会的正当性は認められなかった。

のちにこの論理は破綻するが、現在、今一度、振り返っても良いのではないだろうか。  企業の競争軸は経済軸から人道軸へシフトする、とは勝手な筆者の思いだが・・・。

いずれ、企業は製品機能が優れている、儲けている、から人道的評価軸で製品・サービスが選択されるだろう。それは、株主重視から、顧客、従業員重視へシフトすることも含意である。 

 ・・・「商人賢なれば国家の繁栄保つべし(渋沢栄一)」 


 <参考> 
1. 『日本の近代 11 企業家たちの挑戦』中央公論新社, 1999. 

photo (c) Maco

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