リーダーの【5つの水準】と【3つの邪魔者】

2010年1月10日

書籍 有意差あり!

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市場の成熟が度をこすと、種々の悪循環が起こり始める。

卑近な例では、イノベーションの悪循環で:
製品のコモディティ化の圧力から脱出するために技術革新や製品革新の要求が高まり、実際に多くの革新の試みがなされることになる。しかしながら、あまりにも多くの革新が登場するために、企業側の訴求力は分散してしまうし、消費者の側も革新に注目しなくなってしまう。その結果、企業はますます革新を強化する必要が発生するのである(佐藤(2009)a)。

というものである。このマーケティング悪循環は他にも存在するが、ここでは省略する(詳細は、佐藤(2009)a参照)。

これらの悪循環を脱する例にユニクロのヒートテックを挙げているが、なんのことはない機能軸と価値軸*が両立しためったにない新製品である。
*機能とは追求すれば、高品質低価格(いずれは価格において競争激化するが・・・)。価値とは、ブランド的なもので、10の価格を3で売れば(バーゲンや戦略上、売ってしまえば)、それは所詮3の価値しかないとされる認知的な軸。価値に関しては下の書籍が関連書籍。


おそらくは、ユニクロはいくら洗練されたイメージを訴求しても、アンダーが好調なので、開発を進めていたのであろう。

結局は、如何に顧客に新しい価値を提供するか、である。


さて、そうした価値を生み出す仕組みを作る、また当事者として生み出していく仕事は、意外に困難を伴う。これまでも本ブログでは「リーダー」について記載してきたが、その困難を如何に乗り越えていくかは、リーダー次第である。

リーダーシップの概念で有名なのは、第五水準のリーダーシップであろう(参考書は『ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則』)
第五水準(第五水準の経営者):個人としての謙虚さと職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組合せによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる(p31より)。
*他の水準に関してはこちらの記事をご参考ください。

というものであり佐藤(2009)b では、リーダーシップのタイプとそのレベルの体系化を、ブックオフ、テイクアンドギヴ・ニーズをケースに考察している。


なんだかんだあるが、要は、近年の焦点は、“資本、企業の論理から人間の論理へ”というようである(このブログが勝手に言ってます;)。

そのような論理が浸透していく過程で、上述のようなリーダーや構成員により、企業が成長していく時、おそらくは、次のような成長を邪魔する者が現れる。それらは:

○利害関係のない人のいちゃもん
○利害関係のある人のいちゃもん(内部、同様の業種内の模倣など)
○経営幹部(不祥事、不正、成長していく中の心変わり**など)

**心変わり=(創業時や当初の)経営理念の亡失。

である(成長していく過程ではこうだと思う)。


種々のケースから言えることは、失敗には必ず理由があるように、成功には苦労話が付き物である、ということである。

成功する(組織も大きくなる)とマネジメントも変えていかなくてはならないし、様々にコンフリクトも発生していく。そうした中で邪魔者は(発生したならば)やっつけていかなくてはならない。


・・・リーダーも難しくなってきましたね。。。


<関連記事、参考サイト>
マーケティング②(第五水準のリーダー)
リーダーの得意技は【測定系】の決定にある。
リーダーは、あっさり【譲る】ことも必要である。
リーダーは【他人の頭】をうまく使う。
リーダーは【平凡な人】を良く知っている。
リーダーは【先見性】を持っている。
リーダーは【わかる】より【かわる】ことが大切だ。
中堅社員は何が求められているのか。
佐藤善信, 「“マーケティング悪循環”の発生メカニズムとその克服」, 関学IBAジャーナル2009, pp2-5.
佐藤善信,「リーダーシップのタイプとレベルの体系化―革新企業の急成長における起業家のリーダーシップにかかわってー」ビジネス&アカウンティングレビュー,vol.4, 2009, pp1-18.



-> photo by S-Hoshino.com (フリー素材屋Hoshino)
「オレゴン州立大学(Oregon State University)のワルドー(Waldoo)と言われる建物」


<関連雑誌>
*リーダーシップについての特集


*記事中の「価値軸」に関して

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