技術と市場

2006年11月26日

研究

t f B! P L
参考書の第7章より著者の視点は、マーケットに移される。これまでの技術軌道を利用、研究所の配置や資源配分に触れた戦略的統合から、顧客と市場のリンケージに焦点を当てている。

身近の例で言えば、ipodは市場導入初期から現在のように売れたわけではない。おそらく、潜在的なユーザーは自分たちのニーズを理解していない、表現できていない。

技術が革新的であっても市場の新規性が低いこともある。経験から言えば、業界でいまだに不明であった部分、それが自然科学的なことであれば、業界の関連する学会では話題になるが、市場にはほとんど聞こえてこない。  

おそらく、分析可能なことは、市場がある場合である。分析可能であれば、機能を付与するなど漸進的に改良を行なうことができる。このことは効果が低い、ということではなく、効果を発揮するタイミングがある、ということである。 

要は、技術者の視点からは、定常的な開発プロジェクトと新規の開発プロジェクトでは、異なったマネジメントのプロセス構造、およびツールを採用することになる、ということが言える。 

財務的な視点からは、成長期、成熟期、衰退期と新製品にかかる研究開発費、粗利、マーケティング経費は大きく異なる。企業の製品により財務的な指標が異なるのであるから、それぞれにマネジメントが必要なのではあるが、たいていの場合、企業の中で(当該企業の主力製品である、利益率が高い、などという簡単な理由でそう思われている)最も優秀なケースをモデルにしてしまう。 

このことは、企業のマネジメントを収斂してしまうだろう。時に、モデルが成熟期で金のなる木であれば・・・収斂させてはいけない。 


・・・マネジメントは、利益を計上する、という目的に帰結させる極めて論理的な行為である。 


(参考)
イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントpp197-200, 第Ⅲ部 外部との効果的なリンケージを構築する 導入部を参照。

 photo (c) Maco

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