そのプロジェクト財務分析を行なったり、技術の進化を予測したり、自社のコンピタンスを強固にするものであれば容認したり、と様々である。
財務分析では、現製品・サービスの改良程度であれば、市場や販売価格などが推定できるので行なえるが、研究開発段階のアイデア・コンセプトなどは、従来のDCFなどの方法ではおそらく評価できない。オプションだからである。
技術進化もその企業に最適な回答は与えてくれない。数十年前にテレビの予測を行なったとしても、おそらくシャープはプラズマテレビを選択しない。松下もプラズマテレビに特化しない。
発明支援手法であるTRIZ(のなかでも技術進化の手法)が教えてくれるのは、何百万件の特許を分析した結果抽象化された技術発展の法則であって、これまでの歴史を振り返り、進化してきた様子を鑑み、企業の開発担当者が「おそらく次はこの法則に従うのではないか」と推測する。
そして、その法則が具体的に意味することを製品に落とし込む。結局「目利き」によることになる。
シックスシグマとそのツール、QFD、TRIZ、タグチメソッド、次々に教育を受けてきたが、本業の開発業務への寄与は低い。
これは当然のことであり、このような手法は、開発プロセスのどこで使用すれば手法の成果を発現できるかが決まっている。
この不確実性を定量化するならば、参考書でも述べられているように:
○プロジェクトの技術的な成功確率=0.80
○それにつづく商業的な成功確率=0.20
結局、0.8*0.2=0.16となりわずか16%だそうである。
従って、技術は企業戦略とリンクしなければならないし、この企業戦略は技術機会と適合しなければならにことがわかる。
時に、いずれの手法も「銀の弾丸」だと勘違いしてしまう。しかし、知らないで、「役に立たない」というのは暴論である。忍耐強く研究開発を進め、変化を予測するより、対応できる組織、またはチームを形成することが何より失敗しない運営である。
・・・「科学に関して成就し得たところのものは、一に永き熟慮、忍耐、努力によるものである」(ダーウィン)『チャールズ・ダーウィン』岩波文庫より。
(参考)
『イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメント』pp176-192, 特に成功確率については、6.3 イノベーションの資源配分に詳しい。
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