社会人MBA-技術者編

September 30, 2006

革新者に潜む陥穽 自ら破壊者となれ

日経ビジネス2005.7.4号
日本企業の現状をクリステンセンへインタビューした記事である。ソニーが革新的であったのは1970年代までだと言っている。その頃は盛田(故人)の「新製品に関する最終決定」が、製品開発の現場から離れなくてはならなくなった頃である。また、その頃からMBAを受け入れ出したのも事実である。「革新的製品がなくなった」「ソニータイム」「デルのリコール」など、ソニーを評することは容易である。
「石油ファンヒーター」「マネシタ」と言われる松下でもよい。日立や東芝もそうかもしれない。
いや、GMを飲み込んでしまう力のあるトヨタもそうかもしれない。日本の企業(製造業)は「対応不能な既存企業」であっただろうか?ウォークマンの代名詞はipodになりつつあるが、アップルに対抗できたのはソニーであった。「マネシタ」と揶揄されようが、どこに、二番手戦術をあれだけ有効に活用できる企業があるだろうか。自社の最高級グレード車の日本市場不振があれだけ騒がれる車メーカーがあるだろうか。

生意気かもしれないが、私は日本の製造業の技術者であることに誇りを持っている。これほど、カイゼン体質な組織は、ある意味、強みかもしれない。
既に、ソニーが受け入れた頃のMBAの技術的側面のknowledgeは劣化している。何より、上記の最良のケースを持っているからだ。MBAの要素は学べるが、カイゼン体質は学ぶことができないであろう。そういった意味では、今後の必要なことは、クリステンセンの言葉を借りれば・・・。

・・・10年、20年の大局観から「必要だ」と判断したら、自身を持って二兎でも三兎でも追う。破壊されること、破壊することを恐れずに前に進むしか、生き残る道はありません(本文より)。

photo © Maco


September 29, 2006

ITをマネジメントする

ITマネジメントという言葉があるが、定義は定かではない。さしずめ、経営効率を向上させるICTの利用、活用、といったところになるのではないかと思う。

現在では、何かしらITを利用している。効率向上からSCM、CRMまで様々である。製品開発にとって、もしくはその行為を行なうプロジェクトにとってはITは欠かせない。

情報の共有、データの分析・・・もはや「IT」という言葉の定義次第では、如何様にもなるかもしれない・・・。

利用者は何を望んでいるのか?提供者は調査する。経営効率を向上させる道具として製品・サービスを提供する。1つレベルを上げれば、イノベーションに結びついていく。更に、考察を深めなければならない。。。

最近、私は、ITと聞くとある話を思い出す。

漢の高祖、劉邦が天下を平定したとき、韓信が言った有名な台詞、「将の将たるもの」である。マネージャーはチーム員の業務の内容すべてを把握することはできない。

チーム員もそれを望んではならない。誰かがどこかで見ているなどは、通用しない。ただ、誰が何をできるか、を把握していればよい。情報ひとつとっても、会議中でわからない用語はネットで調べれば、その場で解決される。

どこに情報源があるか知ればよい。それは、あるサイトであるかもしれないし、あるチーム員かもしれない。また、外部の協力者かもしれない。


・・・組織が戦略に従うのであれば、ITは組織をどう変化させるのであろうか。


* 2010-12-2:記事のレイアウト(写真、改行)変更。

<参考書籍>
○IBMコンサルティンググループ, 『最適融合のITマネジメント―競争優位を実現する戦略立案ステップ』, ダイヤモンド社, 2000. 

○杉浦 司, 『よくわかるITマネジメント』日本実業出版社, 2000.


September 28, 2006

新しい課題、昔ながらの対応?

生産の絶えまない変革、あらゆる社会状態の止むことのない変化、永遠の不安定・・・。以前に確立された国内の古い産業の全ては、既に破壊されたかもしくは日々破壊されつつある。それらは新しい産業によって駆逐され・・・新しい産業の製品は我々の家庭ばかりか世界の隅々において消費されている。国内の生産物によって満たされていた昔の欲望の代りに、新しい欲望が現れ・・・諸国民の知的な創造力が共有の財産となる。-K.マルクス、F.エンゲルス著、『共産党宣言』、1848年より-

不確実性と国際化とイノベーションは新しい現象ではない、との示唆である。最近の状況の中で起こっているのは、ルールの明らかな崩壊という現象である。既存のイノベーション・マネジメントに関する研究は、いわゆる“ベスト・プラクティス”を明らかにしようとしてきた。それらのほとんどは特定セクターにおける経験に基づいている。
例えば:
技術マネージメントの主要なモデル:米国のハイテク企業
商品開発における‘法則’の多く:日本の耐久消費財製造メーカー

しかし、イノベーションをマネージする“唯一で最高の方法”はない。それは、イノベーション・マネジメントの基本的な課題に対する組織の実際の取り組み方には、数え切れないほどのバリエーションがあるからである。

それでも、背後に横たわる課題は不変である。兆候となるものをいちはやく見出し、どのようにして、戦略的で首尾一貫した対応策を打ち出していくか、という点である。以前との相違点は、いまやマネージされるべき単位が協力関係にあるプレイヤーたちの同盟集団であるという点である。手段は変える必要があるし、その手段も進化させる必要がある。

・・・大いなる挑戦ではあるが、潜在的な見返りは大きい。

イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントpp25-42

photo © Maco

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September 27, 2006

シックスシグマウェイ

シックスシグマ・ウエイ―全社的経営革新の全ノウハウ

シックスシグマは経営品質を高める手法だと言われている。シグマ(σ:標準偏差)から連想されるイメージは品質改善である。実際、モトローラ、GE、ソニーが導入した経緯は、種々の文献からは「製品の品質」が問題となっていたことである(”シックスシグマの導入と全社展開のプロセス”、”シックスシグマの改善インパクト”,DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー, pp118-142, 1998年 7月、GEに関しては、ジャック・ウェルチ わが経営(下))。

しかしながら、戦後、日本の製造業で品質を大いに高めたQCにしても、シックスシグマ同様「ツールの寄せ集めに過ぎない」と揶揄されれば、「企業文化である、いかに行動するかである」と反論するに違いない。が、これは、本書でも述べられていることであり、如何に自社かするかが問題となってくるのである。これは、米の企業により教育を受け、ブラックベルトに認定された私の実感である。

イノベーション・プロセスにおいて第一のフェーズであった「シグナルの処理」を行なうにあたり(プロセスについてはこの投稿を参照)、プロジェクト(もしくはチーム)がクロスファンクショナルであることは、成功確率を高めることができる。紛糾する確率も高くなるが、ボラティリティが大きくなることは、価値が大きくなることも意味していることと、楽観的に受け止めれば、QCの部署内で活動が終わってしまうよりは、効果(や効用)は大きいと言える。

しかしながら、これを継続していくには、学習効果は欠かせない。そういった意味では、従業員の教育と言う観点からは、QC、小集団活動が根付いている日本の製造業では、QCはシックスシグマより優れているかもしれない。

柔軟さを求めれば、構造化を解くことになり、構造化が進めば、柔軟さ欠ける。この間のどの地点でマネージするかは、企業の文化による。いかなる手法や運営プロセスもそうではないだろうか。

・・・真値を求めるのではなく最適解を求めるのである。

photo © Darren Hester for openphoto.net CC:Attribution-NonCommercial

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September 26, 2006

技術選択のジレンマを超えて

技術選択のジレンマを超えて

企業が現行技術から新技術への転換を、どのようにすればできるのか、についてのファナックをケースに柴田(製品アーキテクチャの進化論―システム複雑性と分断による学習も参考)が考察している。

そもそも、技術ジレンマを起こす第一の要因は、フォスターが指摘した技術のSカーブ理論に起因する。第二にクリステンセンが指摘した顧客や市場からの評価に起因するジレンマ(価値ネットワークが異なれば評価は異なる)である。
そういった中、企業では、現行技術の限界を見極めることが難しいことに変わりはない。この理由は:
①技術能力は経路依存性を持つために、これまでの技術選択の蓄積が将来の技術選択に影響を与える。
②技術は多面的な視点から評価可能であるために、技術限界の認識も多面性がある(価値ネットワークごとに限界がある(クリステンセン))。
③技術性能の向上がSカーブを描くというS曲線の特質もまた、技術限界の認識を難しくする。(フォスターはSカーブの変局点を計算することで、技術限界が近づいていることができると主張するが、技術限界を認識し断念する、意思決定の寄与率は低いのではないだろうか)

ケースのファナックは:
現行技術と新技術を同時に追求していた。これが可能になったのは、①現行、新技術を追求する部門とを両方同時に共存、②両部門のタスクを異なる技術課題に特化、③両部門は1人の人間によって調整され統括。
従業員に高い負荷がかかってしまうが、一つの考察である。

・・・新旧(技術)は選択するものではなく、配分するものである。

フォスターの参考文献:
原著:Innovation: The Attacker's Advantage
和訳:イノベーション―限界突破の経営戦略

クリステンセンの参考文献:
原著:The Innovator's Dilemma: The Revolutionary National Book That Will Change the Way You Do Business (Harperbusiness Essentials)
和訳:イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

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September 25, 2006

セレンディピティ

いかにしてイノベーションを実行するか?イノベーションにはプロセスが存在する。長年、開発作業を行っているが、標準プロセスは管理する上で非常に有用であることは私の経験である。
さて、イノベーション・プロセスとは:
スキャニング:イノベーションの兆候を見つけ出す
戦略立案:最適の対象を選択する
リソース調達:リソースを創る/見つけ出す
実行:事業にまで育て上げる
そして、学習と再イノベーション、である。

イノベーションのマネジメントに必要なのは、成功の確率が高くなるように、イノベーションのプロセスを理解し学習する、組織がおかれた環境中の個別最適ルーティンを開発する、ことである。

日本の開発マネジメントは「ストロー型」といわれ、プロジェクトを簡単には中止できない、否、代替の案件を用意していない。よって、ズルズルと続けてしまう嫌いがある。「成功の確率」を高めるには、多くのアイデアをプロジェクトで実行することが望ましいが、これは、企業の資源状況による。結局は、企業がイノベーションにおいて、特殊解をもっておかなければならないことが言える。
時に、多くの案件は、「始めに目標とした目的には合致しないけれども、別の大発見に巡り会うこと(セレンディピティ)」の効用を生み出すことがある。

・・・好機は準備している者にのみ訪れる(Louis Pasteur)

イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントp23-24

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September 24, 2006

・・・しかしやらねばならない。

明らかにリスクがある不確実なプロセスに直面したとき・・・どのような選択がなされるだろうか?何もしないアプローチは、変化が激しい状態では、めったに採用されることはない。たとえ十分な見返りが見込まれる場合でも、多くの組織はそのプロセスを採用しないという決定を下すであろう。

しかし、製品やプロセスを継続的に更新していく覚悟を持たないかぎり、組織が生き残っていくチャンスは非常に少ない。
いわゆる:
●大きな企業の平均寿命は、人間の半分程度の長さしかない。
●フォーチュン500社は10年間で1/3~1/2の企業がリストから消え去る。
●1900年のダウ・ジョーンズ構成12社の中で今残っているのはGEだけ現代の産業では“対岸”の火事など存在しない。

時に、NOKIAのように生き残るためには、劇的な変化を経なければならないケースもある。

・・・しかしやらねばならない。

イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメントp21-22

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September 21, 2006

技術の進化

製品アーキテクチャの進化論―システム複雑性と分断による学習

技術はどのように進化するのだろうか?市場に適応するのだろうか?科学がプッシュするのであろうか?数年先の技術の概観が俯瞰できればこれほど有用なものはないが、3因子の交互作用同様、神のみぞ知る領域である。
しかしながら、技術者はいくつかの「備え」をすることで、未来に対する確度と確率を高めることは出来る。技術進化の方向性は著書で述べられているように:
①内在的論理を重視するアプローチ
②顧客や市場との相互作用を重視するアプローチ
が進化の方向性に関する研究領域である。

詳細は:
①技術不均衡であれ、経路依存性であれ、技術進化の方向性には固有の論理が存在し、その論理に従って技術進化の方向性は規定される(自然科学における物理法則により規定されるものではない)。
②Von Hippelのリードユーザー、Abernathy,Clarkのドミナント・デザインなど、技術進化の方向性やタイミングに影響を与える要因として、顧客や市場の相互作用を重視。
である。

・・・技術者よ、アーキテクトであれ!


September 20, 2006

イノベーターのジレンマ

優良企業であればあるほど、非連続変化に弱い。クリステンセンの主たる発見は、「特定産業における既存の有力企業は、産業そのものが劇的に変わってしまうような事態にはうまく対処することができず優位性のバランスは新規参入者の側に傾く」ことであり、主要顧客への過剰適応による持続的な技術に適応させられているため、全く新しい世代の製品に関するシグナルを、既存市場の周辺部からの弱いシグナルとして見出すことができない、ということにある。

イノベーターのジレンマを解決する道を見出すためには、定常的な「今やっていることをより上手くやる」という類のイノベーションと、根本的に新しい世代のイノベーションの、両方をマネージする術を学ばなくてはならない(“切り替え”は非現実的)。イノベーションは元々が危険なビジネスなのであり、重要なのは、失敗する可能性が最小になるようにうまく設計しコントロールすることである。

・・・もし失敗したとしても、そこからしっかりと学習するということを忘れてはならない。

イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメント pp16-20


September 19, 2006

日本企業の研究開発の効率性はなぜ低下したのか

日本企業の研究開発の効率性はなぜ低下したのか
研究開発は経営成果と結びついているか

榊原(2003)の報告である。
日本企業の技術戦略、イノベーション課題の変化、および研究開発マネジメントから言及している。定量的な分析は、企業の研究開発費、設備投資額、及び研究開発費/設備投資額比率の推移である。研究開発費が設備投資を上回るかを指標にして論じている。

①日本企業の技術戦略
80年代の基礎研究所設立ブームに代表される「閉鎖的」
②イノベーション課題の変化
それまで得意としていた「プロセス」から「プロダクト」イノベーションへの課題変化
③研究開発マネジメント
経験豊富で熟達した「目利き」の存在、また社内努力優先の姿勢が強い(これと表裏一体なのがNIH症候群)→プロジェクトの中断が困難

これらの考察から、日本企業の研究開発の効率性は低下した可能性が高い。

・・・中央研究所は終焉をむかえてしまうのか・・・。

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September 18, 2006

データマイニングのフリーソフトウェア

Data Mining: Practical Machine Learning Tools And Techniques (Morgan Kaufmann Series in Data Management Systems)

データマイニングは統計解析と異なり、最適解ではなく、満足解である。「ビール」と「おむつ」が「金曜日」に売れている、という有名なルールの発見は、統計解析のように有意差がある、ないの問題とは異なる。数%支持されているだけでも、その(分析対象)データは数万いや数十万のデータをもとに発見しているルールなので、その店の店主やマネージャーは、ビールとおむつを近くに陳列するのか、なるべく顧客が店内を歩くように配列するのか、はたまた、どちらかを目玉商品に据え、来店を促すのか、分析結果を受けての行動は様々であることが考えられる。

取り上げた書籍は、データマイニングソフトWEKAの解説書である。たいていの場合、データマイニングのソフト導入は高額で、いかにも高級な分析を思わせるが、WEKAはWaikato大学が開発したフリーウェアである。(*Downloadクリック後、weka-3-4-8a.exe(JAVA含まず)weka-3-4-8ajre.exe(JAVAのインストールも含む))

解説書の和訳はないが、多くのサイトで使用法や成り立ちが解説されているので、検索すれば、たいていの使用法は把握できる。

私は社会人MBAコースでこれを習ったが、たいていの大学には科目履修生の制度を設けているので、あらかじめ、どのような講義かを調べておき、講義終了後(卒業後)もライセンスの縛りがなく使用できることを考慮している講義であれば(いわゆる秀逸なフリーウェアを使用していれば)、お買い得である。科目履修生は確かに1科目につき数万するが、「日本語で、使いやすく、画面操作もわかりやすく、サポートも充実しているソフトウェア」はオーダーが2,3つことなる価格であることを考えると・・・である。

・・・それで目的が達せられるのであれば、安いことにこしたことはない。

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イノベーションの分類と組織

イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメント
Managing Innovation: Integrating Technological, Market And Organization Change

イノベーションの言葉の定義は 、本質的には“変化”そのもの、この書籍の焦点は“技術的な変化”に当てられている。
社会人で学んでいても感じるのだが、ごくまれに、(この書籍はそんなことはないが)著しく翻訳の読みにくい書籍がある。やはり、自分の研究でよく使用する書籍だと感じると、原著は欠かせない。
イノベーションを一つのフレームとして考えると:
何が変化するのか? プロダクト、プロセス、サービス
変化の程度は? 漸進的、画期的、全面的
の2軸は概略と捕らえるものとしては分かりやすい。

さて、ここで考えなくてはならないことは、イノベーションにより何かが変化したことにより、組織的にも変化が起こるということである。


J.M.アッターバック(イノベーション・ダイナミクス―事例から学ぶ技術戦略)は、製品、工程イノベーションの発生率の変化により、「組織的な要求も同じようなパターンに従って変化する(p109-110)」としている。組織のコントロールとしては:
流動期:非公式、起業家的
移行期:プロジェクトや仕事のグループ
固定期:構造、ルール、目的
が重要な特性になってくる(p120)。

・・・組織が機能しなければ、ダイヤモンドも灰となる。

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技術評価-リアルオプションの可能性


朝晩、すっかり秋らしくなってきた。さて、技術で収穫と言えば、アイデア群から抽出した製品候補を製品プロトタイプへ、そして、さらに、絞り込んで商品へと結びつけ、利益を得ることではないだろうか。
これら抽出のいくつかの段階では、研究者、開発者のいわゆる”目利き”が重要である。彼ら(彼女ら)の経験、マーケッターとの協議、企業文化など、彼らの決定を促す源泉は絞りきれない。

企業の資源が無尽蔵であれば、「備え」れば良いが、研究開発を効率的に行なうことを求める経営姿勢に傾斜している現在、どうしても優先順位を定量的に定めなくてはならない。ひとつのヒントを与えてくれるのが、ブラック・ショールズ式である(詳細はBlack, F.and M.Sholes, "The pricing of options and corporate liabilities", Jounal of Polotical Economy, 81, 1973, pp637-654、Google Scholar から入手可能)。技術、アイデア、特許などをコールオプションと捉え、価値を算出することで定量化することができる。より具体的には、渡邉が知的財産―戦略・評価・会計 で紹介しているTRRUメトリクスであろう。これは、ブラック・ショールズ式の各因子を読み替えて技術や特許の市場価値を算出するものである。読み替えることが重要で、ほぼ単独の特許から商品が展開される医薬や、工業製品のように無数の特許群から構成される業界では、同じ方程式は成立しない。複数の業界を成立させるには、抽象的になり、業界を絞ると、特殊解になる。

さらに、オプションの現在価値=100M¥、と収束させることは、意思決定に適切でなく、モンテカルロ・シミュレーションなど、シミュレーションを並行することで、100±25M¥と範囲を明示できる。経営者は、より現在の企業の状況に応じて、意思決定がしやすくなる。

・・・しかし重要なことは一人(単独の部署)で行なわないことである。

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September 17, 2006

シックスシグマのフェーズ

シックスシグマ・ウエイ―全社的経営革新の全ノウハウ

多くの製品を取り扱っていると、その開発状況や設計状況を共有の言語で示すことができれば便利だと思う。企業が取り扱ういちいちの製品について詳しいスーパーマンはいない。かといって、製品の開発状況で、報告されている側(主に管理職)にそのニッチな知識がなければ、報告している側は、「何にもわかっていない」などと無用な混乱をきたしてしまう。

シックスシグマでは、プロセスを改善するにせよ設計(再設計)するにせよ:
D(定義)
M(測定)
A(分析)
I(改善)
C(管理)
で進められる。いかなるプロジェクトであれ、「現在はMからAぐらいです」と、共通の言語で進捗状況を共有できる。これは、プロジェクト・マネジメントの観点からも非常に有用である。

Dフェーズで問題を特定、顧客の要求を定義し、Mフェーズでそれらを測定する。測定系がなければ、当然、測定系を作成する(理系の学生が実験設備を組立てるみたいに)。Aフェーズでは、Mフェーズのデータを分析する。ここでは、主に統計解析が用いられる。データが膨大であれば、統計解析を使用せずとも、データマイニングの満足解で十分である。Iフェーズでは、Aフェーズでの分析を参考にタグチメソッドなどを用いて最適解を求めることが多い。Cフェーズは、改善結果が維持管理できるよう努めるフェーズで、日本の製造業では、QC、小集団活動で行なわれている、5S、ムダのない生産(リーン生産)などである。

・・・共通の言語でプロジェクト状況が管理できることは魅力である。

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September 15, 2006

シックスシグマ

シックスシグマ-このようなカタカナ用語では、そこそこ有名であると思う。これは、GEによるもので、ウェルチがジャック・ウェルチ わが経営 <下>で「品質こそがGEの抱えている問題」と述懐しているように、業績向上の一因となったからである。

製品の品質を向上させることが目的なのか、それとも、経営品質を向上させるのかは、「品質」の定義により異なる。従って、従来より日本の製造業で取り組まれてきたQC、小集団活動と融和しやすいが、従来の運動をシックスシグマ的に展開してしまうリスクも伴いやすい。これは、シックスシグマが定義するCOPQ(ムダな行為を金額換算した指標:Cost Of Poor Quality)そのものになりかねない。

・・・なぜなら、シックスシグマは:
philosophies”であって”tools”ではないからである。
(Albert Johnson, "Six Sigma in R&D", Research Technology Management, 47 ,p12-16, 2002)

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企業を取り巻く環境は常に変化し続けている

ビジネス環境が変化しつつある中、どのように対応していけばよいだろうか?
いや、対応というより、進化すべきなのか、適応だろうか?
ただ一つ、将来の勝者について確信を持って言えることは:

「その勝者は自らの製品やプロセスを変化させた者の中から生まれるだろう」

この根拠になるのは、進化生物学における「赤の女王仮説」である。(William D. Hamiltonが1980年に提唱)

「病原菌に対する抵抗力を得るために、積極的に親と異なる子を作り出すように両性生殖が進化した」
「あなたの国の人達は、皆そんなにのろまなの?」と赤の女王は言いました。
「ここではね、同じ場所に留まるだけでも必死で走らなければならないの。そして何処かよそに行くつもりなら、せめてその倍の速さで走らないとね!」

-ルイス・キャロル著、鏡の国のアリスより-

参考: イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメント


インプットとアウトプット-MBA入学試験に向けて





私は、理学系の大学院を卒業しているので、現在のビジネススクールへの入学試験に向けて、少しは準備を行なった。業界分析、企業分析、論理的思考、(少しの)ケース分析などなど、(当時は)指定の講座であると、いくらかは返金されたので、割と利用した(ハローワークに講座終了後申請)。

いざ、試験前!何をしたか?

読んでいた日経の記事を、ひたすら丸写しした。
そうである。字を書く習慣がないので漢字がでてこない。
漢字がわからなければ、文章の表現を変更しなくてはいけない。
試験ではコピペは出来ないので、切実な問題である。

現在では、ノートをとる習慣が出来、まだマシになったほうである。

お気に入りは、rotring で、特に写真のように、光沢があるほうが良い。
指紋がつくぐらいがお気に入りである。

講義、書籍、などインプットしたことは、頭で考え、議論や書くことでアウトプットする。
「じゃ、今日の講義内容簡単にまとめてみて」
と言われれば・・・そのつもりで臨まないと、まとまらない。
講義を聴きつつ、内容を考えまとめていく。
そして、アウトプットする。

・・・スライドに写っている資料が事前配布されていないほど、講義に集中してしまう・・・法則。


September 14, 2006

ipodを考える



今や、”ウォークマン”の代名詞になった”ipod”。
私は、ipod(30G)、ipod(nano:4G)、ipod shuffle(1G)を所有している。ipod(30G)は自宅用(スピーカーを接続)、nanoは移動時用、shuffleは大学院への通学用である。
shuffleは、講義でプレゼンテーションを行なう際に、USBメモリの代替にもなるので、非常に便利である。

今秋、種々の発表がなされた。写真のshuffleをはじめ、ipod(80G)では映像(特に映画が配信されはじめるが)も多く保存できる(付属のイヤホンは最悪だったが、今回はインナーイヤホンに変更されている)。

日本では、SONYが最も対応できるであろう。
日本の技術者としては、”ウォークマン”につづく商品を望んでいる。

商品を売ることに利益を求め、さらには、使用中まで顧客がお金を支払うシステムである。
確かに、iTunesは使いやすかった。商品を開発する主活動から、それ以降の主活動にお金が停滞しはじめており、その部分もターゲットとすることは、携帯電話のようである。

・・・今後のビジネスモデルは、どうなるのであろうか。

ipod & iTunes


September 13, 2006

私のイノベーションに関する考察の源泉

これまで、これからのイノベーションに関する考察の源泉は、私が通学する大学院(専門職大学院)での講義内容、講義ノートが参考になっている。主にはMOT関連の講義が主である。

(自分の覚書となるように)今後も多く掲載していきたい。

・・・すさまじい忘却曲線と格闘しながら。


リッチネス&リーチ



インターネットの拡大により、何がもたらされたか?

古典的な戦略であった:
大きな市場向けの規格化されたサービス (長い‘リーチ(reach)’)
ごく一部の裕福な人向けのカスタム化サービス (高い‘リッチネス(richness)’)

・・・リッチネスor リーチからリッチネス リーチへ。

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イノベーションの効用

イノベーションに関する書籍は多くあるが、学術論文をまとめ、論述されている点では、この書籍が、社会人にはありがたい。(イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメント


さて、イノベーションが組織に貢献するには、”プロダクト””プロセス”の形態がある。

プロダクト・イノベーション
新製品:市場シェアを獲得し維持する、また利益率を増大させる。
成熟製品:様々な非価格的要因-主に顧客が(価格より)利便性を求める。
既存製品:より優れたバージョンへと短時間で置き換える。

プロセス・イノベーション
他社よりも良い方法 で作る:日本企業の生産能力など。
他社が作れないものを作る:暗黙知、製造ノウハウ、企業秘伝の・・・。

さらに、”サービス・イノベーション”
  より良いサービス(早く、安価に、高い品質)を提供する能力
  →サウスウェスト航空: 空港における待機時間の減少など。

・・・何を何にどう新しくするかは、企業の文化、戦略に大きく依存する。

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September 12, 2006

イノベーションと競争優位性

イノベーションと競争優位性を考える。

そもそも、何故イノベーション?と問われれば、利益を得るためである。

ひと昔前までは、規模の経済(大量生産、低コスト)や各種資産(資金、設備、労働力)の保有が競争上の優位に働いた。が、それらを保有しているはずの優良企業がうまくいかなかったり(イノベーションのジレンマに陥ってしまうなど)、決定打にはならなくなってきた。

よく、K(勘)K(経験)D(度胸)で仕事をする、と言われるが、現在では、S(センス)K(経験)D(データ)に変わりつつある。

結局、知識、技術的熟練、経験を動員して、新たな製品や製造方法やサービスを創造するイノベーション能力を保有することが、優位性を保つ源泉となりつつある。

・・・のだと思っている。。。

(イノベーションの)管理者は何をしなければならないか?
参考図書
競争優位のイノベーション―組織変革と再生への実践ガイド

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September 11, 2006

イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

技術には進化(連続、不連続)に抜本的、漸進的な側面があり、既存企業の対応性に破壊的、持続的がある。クリステンセンの考察からは、破壊的な様相を示すイノベーションの技術アドレスは、必ずしも、抜本的でなければならない、ということはない。著書にあるディスクの小型化は、「漸進的」である。
システムの定義にもよるが、抜本的とは、携帯型の音楽プレーヤーにおいて、記録媒体がテープ→MD(orCD)→半導体、などで、漸進的とは、例えば、テープでの記録時間、音質の向上などで、カイゼンにあたる。
また、破壊的とは、既存企業が対応できない様相を示している。
(ディスクの小型の度に、リーダー企業が入れ替わるなど)

技術の連続性に、漸進的、抜本的、
企業の対応性に、持続的、破壊的、
これらの、4象限のフレームに(著書の)製品を当てはめていくとわかりやすい。
結局は、既存企業が価値と考えていないちっぽけ(利益率が低いなど)な価値を、異なるバリューネットワークで構成し、(製品・サービスの)模倣困難性を考慮しながら、その価値を最大化していくとき、既存企業(特に優良企業)は対応できていない。

全く新しい世代の製品に関するシグナルは、既存市場の周辺部からの弱いシグナルとして見出される。

・・・両方をマネージすることを学ばなくてはいけない。

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クリステンセンからリポートを学ぶ

イノベーションとは、何かを新しくすることである。この語源は、ラテン語の innovare を引くのが妥当である。要するに、「機会を新しいアイディアへと変換し、さらにそれらが広く実用に供せられるように育てていく過程」なのである(ジョー・ティッド他『イノベーションの経営学』NTT出版、2004、p49)。

有名なクリステンセンは学生時代から、自身の論理で学んでいた。
彼が、短期間で博士課程をパスしたのも、学ぶことを自分の論理に置き換えていたからだと言われている。
社会人学生であると、とかく時間に追われてしまい、単位習得だけが目的になる機会がある。リポートは特にそうである。少しでも研究時間を捻出するには、容赦なく課せられるリポートの課題を、少しでも、自身の研究の論理に落とし込んで仕上げることが、後の論文執筆に役立つと考えている。

・・・しかし、なかには、これを嫌う先生もいらっしゃる。


September 10, 2006

MBAの選択

私はMBA取得のため、夜間の大学院を選択した。
技術者を続けながらの選択である。
この動機付けは、技術者を続けなければ、自身の問題を解決(いわゆる研究)
出来ないためで、大学院で解決できるもの、と考えたためである。

早いもので2年生になってしまった。

知り合いには、全日制を選択した者もいる。彼らは、起業することが目的である。

全日制のメリットは、学業に専念できること。しかし、これまでの収入源はたたれてしまう。
夜間のメリットは、本業を継続でき、収入源が確保できること、しかし、(入学が簡単な大学院もあるがどこでも)学業を成立させることは困難である。本ブログでは、それを補うため、学習したことなどの覚書ににしていきたい。

・・・入れば(睡眠不足)地獄が待っているのだから。