企業は国のイノベーション・システムの中に埋め込まれており、国のイノベーション・システムは、企業が機会や脅威の対応する際の選択のある程度規定する。
つまり、イノベーション活動の本国依存とは―
○グローバル企業であっても、イノベーション戦略を立案・実行する際の戦略的なスキルや経験は、主として本国に頼っている。
○国の技術的な強みや弱みは、その国の主要企業に反映されている。
○日本の強みと弱みのパターン(産業)は、米国の強みと弱みのパターンのほぼ逆である。
などである。
これらを支持する調査は、民間企業研究費の対GDP比率の推移が示されており、概略は:
○欧州と日本が米国に徐々に追いついたという認識は誤りで、スイスは、常にリーダー集団の一員であったこと。
○ドイツと日本は、1971年時点で既に米国を逆転しており、1980年代はリードを広げた。しかし、1980年代後半には再び米国が追い上げていること。
○北欧諸国は、継続的に上昇している、成長競争には参加していない国もあること。
○1960年代に世界をリードしていた英蘭は、長期低迷していること。
○ある国の企業の研究開発比率上昇と、その国の産業構造との間に密接な関係はないこと。
○フィンランドとカナダはいずれも天然資源に大きく依存しているが、上昇率は大きく異なること、など である。
・・・国が違えば得意技も異なるのである。
『イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメント』pp105-107, 4.1 国のイノベーション・システムより内容抜粋
photo(c)Maco
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