近年、商品のサイクルタイムが短くなり、開発スパンもそれにつられ、短くなっている。開発の案件やアイデアもすぐに実行に移せるものを選びがちである。
しかしながら、そのアイデアは、製品のパフォーマンスを少ししか改良してくれない。不連続な展開はごくわずかである。
私は、電機メーカーの設計部に属している。
昔は電機の設計部といえば「花形」部署と呼ばれていたそうであるが、研究、開発、量産化、さらには顧客との折衝に参画する設計部は独特の部署で、よく言えば、プロフィットセンター、悪く言えば、何でも屋、便利屋である。
リストラが進み、ベテランが少なくなっている現在では、猫の手も借りたい現状である。そのような中、ビジネススクールに通っているのであるから、全くの酔狂としか言いようがない。マネジャーへの感謝は言い尽くせない。
技術屋は妥協をしない。研究者も同様である。が、企業である以上タイムリミットが存在する。時間が限りなくあればよい、と言うものではないが、あったことにこしたことはない。
短縮されたサイクルタイムへ対応するには、長期的スパンの開発も短期的スパンの開発も効率よく資源配分して行わなくてはならない。
かといって、次に商品化する時間を稼ぐために、少しの改良、改善で短時間で開発を終わらせることも、設計者としては保険になり安心するが(いわゆる中途半端な状態)、獲得できうる利益の幾分かをその保険代に使用しているので、商品化の利益率が低下してしまう。
いわゆる設計者のジレンマである。マーケッターは開発期間が長ければ、「長すぎて待てない」、短ければ、「それは新商品として打ち出せない」というだろう。
開発行為は博打である。10年できないかもしれないし、明日できるかもしれない。いくら、PCが発達しようともやってみなければわからないことは数多くある。
そのなかで、必要なことは忍耐である。短期間においては「ギリギリまで待つ忍耐」、長期間においては、この実験のなかに何かがあると「続行し、(メカニズムなどを把握するのに)待つ忍耐」である。そして、決して、ストロー型の開発を行わないことである。
・・・「忍耐こそ、このうえなく真実の勇気なり」(ミルトン)
photo(c) Mori
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