戦略的思考はビジネスを成功に導くための必要条件ではあるが、私はそれが過大評価されていると思っている。もしあなたが、素晴らしい二輪車エンジンを設計する方法を知っているならば、私はたった数日間で、あなたが戦略について知るべきことのすべてを教えてあげられるだろう。
一方、たとえあなたが戦略についての博士号を持っているとしても、数年間働くだけで素晴らしい新二輪車エンジンを設計する能力が得られるとは思わない。」(リチャード・ラメルト, California Management Review, 38, 110, 1996, 米国の二輪車市場におけるホンダの成功原因をめぐる継続的な論争より)
上記は、戦略的にアプローチする重要性を支持している。イノベーション戦略において、成功する秘訣、ツールはないかもしれないが根本的には、経験や分析から学習する能力が重要である。
しかしながら、企業のイノベーション戦略が備えるべき基本的要素は考えられる。
それは、以下の3つの要素である(俗に言う3Pとしよう):
Position(市場と国家のポジション)
Path(技術の軌道)
Process(組織のプロセス)
である。
すなわち:
①自社の競合企業と比較したポジション:製品やプロセス、技術などかの観点から、また自社が埋め込まれている国のイノベーション・システムの観点からポジションを比較する。
②自社に開かれている技術軌道:これまでに蓄積してきたコンピタンスと、それらによって利用可能となる新たな機会から、将来の軌道が導かれる。
③自社が従うべき組織的なプロセス:職務上の機能や部門の境界を越えて、戦略的な学習を統合するために、企業戦略を立案する。
・・・やはり、備えることが好機を誘発する。
(参照)
『イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメント』pp81-84, 第Ⅱ部 戦略的にアプローチする、導入部を参照。
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